白井勝二
マイヅルテンナンショウは多年草で、4月に芽出し、5~6月に開花し、秋にはトウモロコシ状に赤い果実がつきます。花を咲かせ種子のついた株は、種子に栄養を取られて球根は小さくなります。
テンナンショウ属の仲間は雄株、雌株に分かれていますが、一般的に小型の株は葉のみで、中株は雄花がつき、生長して大株になると雌株が多いですが、マイヅルテンナンショウは、中型の株は雄花だけで大型の株になると上部に雄花、下部に雌花がつき、結実し赤い果実をつけます。
春先、小型の葉が密集して芽吹きし、その後中央から太い茎が出てきて高さ60~80㎝に生長します。これは球茎の周りに子球がたくさんでき、この子球からの芽出しが先行的に出るからです。子球は年々大きくなり4年で親株と同じ大きさに育ちます。
果実からの発芽はどのようになるのか、種蒔きによる発芽を試みました。
自然状態では、小鳥がつまみ、発芽抑制物資を含む果皮、果肉が除去され糞という肥料付きで、地上に散布されるので、実験では果肉を水洗いして取り除いた種子と、赤い果実のままを12月に蒔きました。その後は、湿潤を保つよう枯葉で覆い管理し、3月に枯葉を取り除きました。
ウラシマソウも、参考のために、同様の発芽実験を行いました。
発芽の状態
結果は果肉を取り除いた種子は発芽しましたが、赤い果実のままでは発芽しませんでした。
また、低温で保存した3月蒔きも別途行いましたが、同様の結果でした。
ウラシマソウも同様な処理をして蒔きましたが、地表での発芽は確認できませんでした。
資料によると一年目は地中で発芽し、地表に出るのは2年目のことであるとあり、来年が楽しみです。